コラム

軽量化と美しさを両立したチタンはマフラーに最適な素材

2021.06.08


STORY8

いまやカスタムマフラーの素材として、すっかり一般的になった感のあるチタン。

元々は、航空機や潜水艦などに用いられていた軽量・高剛性の特殊金属である。

アールズ・ギアの代名詞でもあるワイバンは、エキゾーストパイプからセンンターパイプ、サイレンサー、そしてサイレンサーの内部パーツに至るまで、可能な限りチタンを使用することで徹底的な軽量化と、見た目の美しさを実現している。

アールズ・ギアのこだわりは、設立当初から使用するチタンはすべて磨き上げて鏡面仕上げとして、より高級感を醸し出すものとしていること。ワイバンのエキゾーストパイプは、パイプの中に砂を詰めてバーナーであぶりながら職人が丁寧に曲げていくのだが、バーナーであぶる際もチタン材を磨いているかいないかで焼け色のきれいさが格段に違うのだという。

徹底的に磨き込まれたアールズ・ギアのチタンパイプは、その曲げ工程で美しい虹色が付き、何とも言えぬ高級感を漂わせている。特に、4気筒のビッグネイキッドは虹色に輝く4本のエキゾーストパイプが流麗な曲線を描き、まさに工芸品のような美しさを誇っている。

また、機械で曲げたチタンのエキゾーストパイプを使用するリアルスペックも、パイプを曲げた後に磨き込んでからバーナーであぶって、きれいな焼け色を付けている。

ちなみにアールズ・ギアのマフラーのもうひとつの特徴ともなっているチタンサイレンサーのドラッグブルーだが、こちらはあぶって焼け色を付けたものではなく、サイレンサーを整形してから特殊な薬品の中に浸けて電気を流して化学反応を起こさせたもの。虹色のエキゾーストパイプとのマッチングも抜群だ。

いまや7~8割のお客さんがチタンモデルをチョイス

↑CB750Fourを彷彿させるCB1100/EX用ワイバンクラシック4本出し。1100用は軽量ステンレスを用いることで、4本出しながら6㎏の軽量化も実現している

↑キャブトンタイプのW800用ワイバンクラシックマフラー。クラシカルなモデルにマッチしている(現在は販売中止)

軽くて高剛性で、耐久性にも優れ、美しい焼け色が付くチタンはまさにマフラーにもってこいの素材だが、やはり特殊金属ということで価格も高い。そのため、一時はエキゾーストパイプ以外にステンレスを使用したワイバン・ソニックというモデルを製作していたこともあったが、徐々にフルチタン製を求めるお客さんが増えてきて、いまやアールズ・ギアのマフラーの7~8割はフルチタン製とのことだ。

とはいえ、モデルによってはあえてステンレスを使用する場合もある。キャブトンタイプサイレンサーを採用するW800やCB1100/EX用4本出しなどは、クラシカルな雰囲気に仕上げるため、焼け色が付くチタンではなくバフ仕上げ、またはメッキ加工を施したステンレスが使われている。そのステンレスも、SUS304という耐腐食性の強い素材を使用している。

また、いっときはレーシングイメージで一世を風靡したカーボンはというと、サイレンサーに使われることはほとんどなくなっていて、リアルスペックのサイレンサーエンドに使われるくらいとなっている。

(STORY9に続く)